<< August 2017 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 >>
SELECTED ENTRIES
ARCHIVES
RECENT COMMENTS
LINKS
PROFILE
SEARCH
OTHERS
<< 126の手筋 | main | 耳を澄ませて >>
スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

| - | | - | - |
滅私が磨いた才能
 我が家の壁にかけられている一葉の絵があります。十数年前に亡くなった叔母が描いた絵です。「どうぞ、もらってください。下手な絵ではずかしいけど、たかちゃんのお部屋に飾ってくれたら嬉しいわ」と本当に恥ずかしそうに言いながらくださった絵を見たときの驚きは今でも鮮明に覚えています。これ、本当に千代子叔母さんが描いたのですか、と思わず口に出そうになった言葉を寸でのところで食い止めたものでした。絵をいただいてから何年もたたないうちに、千代子叔母さんは白血病であっけなく亡くなってしまいました。
 絵を見るたびに、叔母さんのどこにこんなに素晴らしい絵を描く才能があったのかな、と思います。私が小中学生のころ、戸田橋の叔母さんの家に遊びに行って年が同じくらいの従姉弟と田んぼで紐に結わえつけた煮干でザリガニ釣り、用水でタモアミかき回してドジョウ取りをしたものですが、千代子叔母さんは家業の風呂屋さんのおかみさんとして、また姉弟の母としていつも忙しくしていて自分の時間など少しもない様子でした。それが、従姉弟らが大学を出て社会人となって子育ても終わり、家業の風呂屋の方も先頭に立って働かなくてもよくなったのでしょう。ご自分の時間が持てるようになって、それまでひっそりと声も立てずに叔母さんの中に居た絵の才能が一気に芽を吹いたのですね。辛抱が長かった分、出す声もでかかったのでしょう。
 滅私奉公というものいいが絶えて久しい今の世にあって、叔母さんが描いた絵を見ていると、滅私が磨いた才能のすざまじいばかりの迫力に圧倒されながら、花咲いた時期のあまりの短さに涙が出てくるのです。
| - | 11:18 | comments(0) | trackbacks(0) |
スポンサーサイト
| - | 11:18 | - | - |
コメントする









http://kinsho.jugem.jp/trackback/760
トラックバック

月刊「近代将棋」編集日記